夫不在中に鬱病を再発する妻の本当の思惑に迫る医師の信念は通じるのか。
『オーシャンズシリーズ』などを映画界に送り出してきたスティーブン・ソダーバーグが映画界引退前に送り出した渾身の問題作。

インサイダー取引により収監されたマーティン(チャニング・テイタム)は、刑期を終え出所してくる。
しかし彼の不在中に鬱病を再発していた妻のエミリー(ルーニー・マーラ)は自殺未遂を引き起こした。

担当医のバンクス(ジュード・ロウ)は彼女に新薬を処方するが、彼女は夢遊病になってしまう。
この薬のお陰で夫との関係も回復したと言い張り、服用をやめたがらないエミリー。

が、彼女は夢遊病状態のまま、殺人事件を起こしてしまう。
主治医としての責任を問われ、キャリアも家庭も失いかねない所までおいつめられたバンクスは調査を進めるのだが・・・

原 題 SIDE EFFECTS
製作年 2013
製作国 アメリカ
監督:撮影:編集 スティーブン・ソダーバーグ
製作総指揮 ダグラス・ハンセン
脚 本 スコット・Z・バーンズ
音 楽 トーマス・ニューマン
出 演 ジュード・ロウ(バンクス博士)、ルーニー・マーラ(エミリー)、チャニング・テイタム(マーティン)、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(ヴィクトリア博士)、アン・ダウト(マーティンの母)、ヴィネッサ・ショウ(ディアドラ)


バンクスはエミリーの前の担当精神科医・ヴィクトリア(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)から彼女が鬱病になった、原因を聞かされ驚きます。

ヴィクトリアとエミリーは、愛する男性に袖にされた者同士として、復讐の道具として、精神疾患と新薬を隠れ蓑に使う事を思いつきます。
劇中で彼女が演じる新薬の副作用とも思しきあれ振りが『演技』と判った途端、バンクスの怒りは隠せなくなるのです。

エミリーの、恐ろしさは『嘘を嘘とも思わない事』なのだと思います。
自分を守るためなら、どんな嘘でもつく。

彼女の嘘は劇中で、二転三転します。
最初はバンクスの気を引くために、自分はマーティンと共にいるのか、いかに辛かったかと言わんがばかりの嘘を彼につくのです。

しかしそんな事は心にもない事が、最後の方で判明します。
彼女の周りの共謀者が居なくなる事で、エミリーは身包みをはがされる形となるからです。

マーティンの遺族である母親(アン・ダウト)や、警察にもエミリーのたくらみはほぼ筒抜けであるにも関わらず、精神疾患という隠れ蓑が故に、どうする事もできない。

ヴィクトリアが殺人教唆で逮捕されても、エミリーは隠れ蓑に納まっている。

最後にエミリーがたどる道は、精神疾患を隠れ蓑に罪状すべてを逃れている人間への怒りが込められているのだと思います。
ソダーバーグが映画制作最後の作品に、この題材を持ってきた意味を考えるべきではないでしょうか。

父親に愛されない女性のトラウマや、『認められたい症候群』を取り扱った映画、野心と嫉妬をテーマにし、そこで精神的に病んでいく人々を取り扱った映画はいくつかあります。

話題を呼んだ映画で有名なものと言えば『ブラックスワン』が有名でしょう。
燃え尽きてプリマの座を降りた主演バレリーナ(ウィノナ・ライダー)の苦悩、新プリマに抜擢された女性(ナタリー・ポートマン)の純粋さ、蹴落とそうとする準プリマ(ミラ・クニス)の計算された人間関係は、対比的です。
野心と嫉妬に巻き込まれ、終わらない人間関係の醜さにこれからも誰かが犠牲になると思わせるラストは、この映画にも通じます。

何かをきっかけに豹変していくサイコパスと言えば邦画ですと『藁の盾』がこの映画に似ています。
あの映画で藤原竜也が演じた殺人犯は、母親の存在がなければ、この映画の主人公の様に最初から計算して全てを陥れるサイコパスになり得たと思う映画です。

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