一日中『くたばれ米国人』と罵る国民に隠れ、偽映画を作り、人質を脱走させる。
クリントン政権時代まで機密扱いされていた奇跡の事実を映画化。
ベン・アフレック三度目の正直・オスカー受賞作。

時は、’79年11月。
イラン米大使館占領事件で52人が人質となったが、6人が裏口から脱出。
カナダ大使の自宅に匿われていた。

当時のイラン・パーレビ国王は癌の治療という名目で米国に亡命。
国内はイスラム過激派武装勢力が権威を握る状態だった。

CIA人質奪還のプロ・メンデス(ベン・アフレック)は、大使館に匿われている6人を出国させる為に奇策を思いつく。

それは『アルゴ』というSF映画をでっちあげ、6人をカナダ人撮影スタッフにみせかけ出国させようとする事だった・・・

原 題 ARGO
製作年 2012
製作国 アメリカ
監 督 ベン・アフレック
製作総指揮 グレアム・キング
脚 本 クリス・テリオ
原 作 アントニオ・J・メンデス、ジョシュア・バーマン
撮 影 ロドリク・プリエト
音 楽 アレクサンドル・ブスエラ
出 演 ベン・アフレック(トニー・メンデス)、ジョン・グッドマン(ジョン・チェンバース)、アラン・アーキン(レスター・シーゲル)、ブライアン・クラストン(オドネル)


’79年の事件当時、52人の人質の件は報道されたそうですが、6人の出国騒ぎは、クリントン政権時代まで機密扱いされ報道される事はなかったそうです。

当時6人の密出国騒動は、日本における『浅間山荘事件』ぐらい世界中を揺るがせた出来事だったと言われています。

現在同じ事が起こったとしても、当時と同じ様に、6人を映画スタッフに化けさせて出国させるのは不可能でしょう。

メンデスは、6人を変装させる為に『猿の惑星』の特殊メイクで知られるチェンバース(ジョン・グッドマン)の所に足をむけます。

チェンバースのキャリアは、この時期落ち目で、自分の手がけた作品なぞ誰も観てくれないと自虐気味に言い訳しています。

そんな彼は映画業界の裏事情に詳しいので大役が回ってきます。

メンデスが偽映画の制作をすると敵にバレるので、それっぽく見える製作者レスター(アラン・アーキン)を呼んできて、タダで映画を作らせるのです。

レスターは、この状況下で映画を作る事をメンデスに説明する時のセリフも皮肉が混じりつつも見どころでもあります。

周囲は現地の人間ばかりで、大使館の中にまで現地のお手伝いさんに外出しない6人を不審がられるシーンは冷や汗ものです。

当時、こんな様子で映画の撮影の許可が降りた事そのものが不思議ですが、現在では到底無理な事かもしれません。

メンデスの上司も不安要素が山積みのこの作戦に対し、人質奪還作戦を中止し、彼らが航空券を取り上げられてしまった時にはどうなる事かと思います。

クライマックスからラストは、メンデスや人質となった6人が、国に見捨てられながらもいかにして、出国できたが最大のみどころとなっています。

この映画と似ている映画にロバート・レッドフォードとブラット・ピットが共演した『スパイゲーム』があります。

任務に深入りして敵側に人質に取られ拷問を受ける若手局員・ビショップがブラット・ピット。
引退の日に、ビショップがしくじり命の危機に晒されている事を聞いたレッドフォード演じるベテラン局員・ミュアーは、周囲に怪しまれる事なく、局内で手を回し、引退の日全てをかけて、ビショップを救いだす事にします。

その真摯さは『アルゴ』におけるベン・アフレックと並ぶものかもしれません。

四面楚歌になっても諦める事はない。
ギリギリになって不安要素が噴出してきても、冷静に考えれば活路は見出せる事を思い出させてくれる映画です。

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