オールド・ルーキー(THE ROOKIE)

ドラマ

厳格な父に縛られ、一度は諦めたメジャーへの夢。
それに火をつけたのは教え子の一言だった。
実在した35歳でメジャーリーグデビューした投手ジム・モリスの自伝映画化。

厳格な海軍の父モリス・シニア(ブライアン・コックス)の息子ジム(デニス・クエイド)は、少年時代は赴任先の少年野球チームの投手として活躍していた。

ジムは’83年にブルワーズにドラフト一位で指名されるが故障続きで引退。

それから数十年、今ジムは高校の化学の教師兼野球部のコーチに収まり、3人の子供と、妻ローリー(レイチェル・グリフィス)に囲まれつつも昔の夢を諦めきれない日々を送っていた。

ある日、キャッチャー担当の生徒に、本気で投げていないことをジムは見破られる。
そして生徒に『チームが地区大会で優勝すればプロテストをもう一度受ける』というとんでもない約束をしてしまうのだが・・・

原 題 THE ROOKIE
製作年 2002年
製作国 アメリカ
監 督 ジョン・リー・ハンコック
脚 本 マイク・リッチ
製作総指揮 フィリップ・ステュワー
撮 影 ジョン・シュワルツマン
音 楽 カーター・バーウェル
出 演 デニス・クエイド(ジム・モリス)、レイチェル・グリフィス(ローリー・モリス)、ブライアン・コックス(ジム・モリス・シニア)、ジェイ・ヘルナンデス(ワック)、アンガス・T・ジョーンズ(ハンター・モリス)

アマチュア時代に投げ込みすぎてプロで潰れた人間が再起をめざして、35歳という本来であれば選手が引退やコーチなど第二の道を考える時にメジャーデビューを果たすという筋書きが見どころであり、生きる希望を与えてくれる映画です。

何よりもこれが実話である所に説得力があります。
厳格で、息子の人生を縛り付けたという罪悪感にとらわれる海軍の父を名優ブライアン・コックスが演じている所も説得力があります。

息子にすまないと言い切れなくて、無邪気にジムを応援する孫のハンター(アンガス・T・ジョーンズ)にミットを買ってくるのですが、これがまたサイズが合わない。

このシーンは『バンクーバーの朝日』で仕事をしながら野球に打ち込む遊撃手役の妻武木聡に対し、出稼ぎ労働をして家に一銭も入れない父親役・佐藤浩市が、息子の為にグローブを買うシーンと似ていると思います。

後々の展開を追ってみると、ジムの父親も家族を支える為に海軍入隊し、やりたい事は諦めた人間だったと伺える台詞が出てきます。

ジムは地区予選で勝ち進みますが、プロテストは、子供3人を連れて行くというギリギリの選択を迫られるのです。
ついにジムはメジャーデビューを果たしますが、そこから先は紆余曲折を得ます。

ディズニー配給の映画なので、安心してラストまで観れるように作ってありますが、実際のジム・モリスの人生はもっと複雑だった様です。

映画の中では、ジム本人が審判の役で出てくるので、野球ファンとしてはおいしい映画ではないでしょうか。

Recommend

仕事をしながらでも野球への夢を諦めなかった実在の野球チーム、そして、息子たちの野球への情熱を徐々に理解する父親という構図を描いた映画といえば、邦画では『バンクーバーの朝日』が似ています。

戦前のカナダ日本人街に生まれた実在した野球チーム・バンクーバー朝日を題材にした映画で、親世代は出稼ぎ労働で稼ぎ、本国に仕送りする事に意義を見出し夢を諦め、息子世代は仕事以外の事にも夢を見出すその温度差を巧く描き出しています。

夢を諦めざるを得ず、外面をよくせざるをえなかった親世代、そうではなく夢は諦めるものではないと思う子供世代、違う人生概念を持つ親子が畏敬の念を通わせるまでの奇跡を描いた作品としてはお勧めです。

親子で人生概念、価値概念が違うと思った時に、お勧めの映画になります。
 
次に観る映画は絶対コレ!

関連記事

最近の記事

TOP