グローリー・ロード(GLORY ROAD)

ドラマ

人種差別が公然に行なわれていた’60年代の米国南部。
1人のスポーツコーチが取った『勝つための奇策』とは。
殿堂入りしたヘッドコーチー、ドン・ハスキンズの波乱万丈の人生の映画化。

時は’61年テキサス州。
ウェスタン大のバスケット部ヘッドコーチとして招かれたハスキンズ(ジョシュ・ルーカス)は、資金不足から有能な白人選手をスカウト出来ない事に頭を抱えていた。

ハスキンズは才能ある黒人選手7人を引き入れる。
当時の試合は、黒人はホームで1人、アウェーで2人、負けている時に3人と、出場出来る人数制限差別があった。

ハスキンズは選手たちに自分たちが理不尽な差別に遭おうとも毅然としゲームの事だけ考えろと言う。

その甲斐もありシーズン開幕戦、序盤はミスがあったものの、中盤から終盤にかけてスタンドプレイやミスがなくなり、快進撃を遂げていた。

しかし彼らを世間の風潮は応援しているはずもなかった・・・

原 題 GLORY ROAD
製作年 2006年
製作国 アメリカ
監 督 ジェームズ・ガートナー
脚 本 クリストファー・クリーヴランド、ペライナ・ジロイス
製作総指揮 マイク・ステントン
撮 影 ジェフリー・キンボール
音 楽 トレヴァー・ラヴィン
出 演 ジョシュ・ルーカス(ドン・ハスキンズ)、デレク・ルーク(ボビー・ジョー・ヒル)、オースティン・ニコルズ(ジェリー・アームストロング)、スヒン・A・S・カー(デヴィット・ラテン)、アルフォンソ・マコーリー(オースティン・アーティス)、メフィット・ブルックス(ハリー・フローノイ)、サム・ジョーンズ三世(ウィリー・ワーズリー)、ダメイン・ラトクリフ(ウィリー・ケイジャー)、アル・シアラー(ネヴィル・シェッド)、エミリー・デジャネル(メアリー・ハスキンズ)、ジョン・ヴォイト(アドルフ・ラップ)

公民権運動が本格化する前の米国では、バスでは黒人は座れず、スポーツも白豪主義。
南部ではその特徴が、より強く現れていました。

試合に勝ったとしても認めない南部の人間の傲慢さは、試合後にシェッド(アル・シアラー)が1人になった所を襲われたり、チームが宿泊するホテルに血で落書きをされたり、荷物をあらされるといったヘイトクライムに出ています。

試合に勝ちランキング4位にまで登りつめた彼らですが、この様な いわれのない嫌がらせを執拗に受けた為に彼らはランキング1位になれるはずの試合に負けてしまいます。

その後に地区決戦が来るのですが、一番手強い敵にさすがのハスギンズも白人の選手ジェリー(オースティン・ニコルズ)を起用します。

地区決戦の試合の行方は、ぎりぎりの攻防戦が見れるので、ここも見どころの1つです。
わずかな差で試合の勝敗や延長戦が決まるのかと思わせてくれる、ハラハラするシーンが連続します。

そして彼らは決勝に進みますが、4度の優勝経験を持つケンタッキー大が前に立ちはだかります。
強豪を前にして、ハスキンズはスターティングメンバーを全員黒人にすると言い出すのです。

ハスキンズは後のインタビューで『ベストメンバーを選べばこうなっただけ』と述べていますが、当時の周囲からのバッシングは大変なものになると覚悟の上だったと思います。

ウェスタン大が力の限りを尽くした結果はどうなるかという事は、史実をみれば明らかですが、彼らが卒業後、アフリカ・アメリカンの優秀なリーダーとして巣立っていった背景は、この映画に隠されていると思います。

Recommend

この映画の製作会社は『パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ』で有名なジェリー・ブラッカイマーフィルムです。

過去に製作した公民権運動を背景にスポーツものといえば、デンゼル・ワシントンが実在のコーチ、ハーマン・ブーンを演じた『タイタンズを忘れない』があります。

その他にも、ダニエル・ブリュールが、ドイツサッカーの祖といわれている、コンラート・コッホを演じた『コッホ先生と僕らの革命』もこの映画に似ている要素はあると思います。

どちらも時代背景により、人種や戦争といった問題を抱え自由にスポーツをする事を許されない学生が、指導者の思いきった決断により、スポーツをする勇気と人生に本当に大切な事は何かを見出していくものです。

好きで続けたいスポーツはあっても常にそこは派閥や人間の争いがある。指導者は長いものに巻かれるタイプで優柔不断。という悩みを抱える人にもお薦めの映画です。
 
次に観る映画は絶対コレ!

関連記事

最近の記事

TOP