マーシャル・ロー(THE SIEGE)

サスペンス

NYの街に多発したバスジャックテロ、そしてしかれた戒厳令。
彼らの目的は1つなのか、もしくはバラバラなのか・・・。
同時多発テロ前に製作されたにも関わらず、テロ後最も米国でレンタルされた映画がここに。

NYの街で突如連発した満員の乗客を乗せたバステロ。

1台目のテロでは、乗客は無傷で青いペンキまみれとなって出てきたが、謎のメッセージが車内に
残されていた。

2台目のテロではFBI捜査官ハブ(デンゼル・ワシントン)が同僚のフランク(トニー・シャルーブ)に
通訳させ交渉人となり、人質の開放を行った。
しかし子供を解放した後、バスは爆発してしまう。

犯人は当局のブラックリストに載っていながら学生ビザで入国していた事が判明。
誰がビザを発行したのか。
そして一連の事件に捜査協力をかってでたエリース(アネット・ベニング)は何者なのか・・・

原 題 THE SIEGE
製作年 1998年
製作国 アメリカ
監 督 エドワード・ズウィック
製作総指揮 ピーター・シンドラー
脚本・原案 ローレンス・ライト
撮 影 ロジャー・ディーキンス
音 楽 グレアム・グリーン
出 演 デンゼル・ワシントン(アンソニー・”ハブ”・ハバード)、アネット・ベニング(エリース・クラフト/シャロン・ブリジャー)、ブルース・ウィリス(ウィリアム将軍)、トニー・シャルーブ(フランク捜査官)、サミ・ファジーラ(サミール・ナジテ)

ハブは、バスジャックテロが起きた時点からエリースが口を挟んでくる上、彼女がNSC出身と語る素性にも胡散くささを感じます。

しかしFBI連邦ビルが襲撃された事により大統領はNYに戒厳令を敷いてしまいます。

軍による戒厳令が敷かれてしまうと捜査ができなくなるばかりか、テロリストは地下へ潜り、例えFBIが途中まで活動の詳細を掴みかけていても、判らなくなってしまう事もあるのです。

エリースは、自分の素性がCIAエージェント・シャロンである事を明かします。

かつてフセイン政権崩壊の為に、現地で反対組織を構成するのに手を貸した事、政権崩壊後、組織の面々を学生ビザを使い米国に亡命させてしまった事を彼女はハブに明かすのです。

一連のテロは、かつて彼女が学生ビザを発行した人間が関わっている。
シャロンは罪滅ぼしの為、任務に関わっているのです。

そして彼女は自分がビザを発行し米国に亡命させたと思しき『最後の一人』を見つけます。
その人物が、彼女が個人的に慕っていた人間である事が判る場面は皮肉です。

戒厳令が発令されたNY市内で、軍のウィリアム将軍(ブルース・ウィリス)がアラブ系の若者とみれば、誰でも捕まえる横暴ぶりに抗議するデモが起こるシーンは、これからの米国を暗示している様でもあります。

NYでテロが起こるとどうなるかという仮定で、’98年に製作された映画であるにも関わらず、これだけテロ直後のNYの警戒心を
描き出した映画は今まで存在しなかったのではと思います。

米国では、同時多発テロ以降最もレンタルされたDVDだと言われています。
映画の中では、当時まだあったツインタワーの一部が見える所も、重要な見どころです。

Recommend

デンゼル・ワシントン主演の映画で、同時多発テロ後のNYの偏見や住む人々の不安感を炙り出した映画には『インサイド・マン』があります。

マンハッタン信託銀行で強盗事件が発生し、頭脳明晰な犯行グループの主犯(クライブ・オーウェン)は人質にも強盗と同じ格好をさせる作戦を取ります。

犯人グループは、自分たちの素性隠しと時間稼ぎの為に、この時勢に米国にはびこっていた、人種への偏見を利用するのです。

外で待機している警察に内部での話し声だと勘違いさせる為、仕込んだ外国語のテープは、アルバニアの独裁者・ホッジャの演説のテープであるシーンや、アラブ系人質が犯行グループからのメッセージを下げてくるシーンで大騒ぎするシーンは、この映画における戒厳令が敷かれた後のNY、そして実際のテロ後のNYを思い出します。

政治のあり方に、なんらかの形で疑問を持つ方に、お勧めの映画になります。
 
次に観る映画は絶対コレ!

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