カンパニーメン(THE COMPANY MEN)

ドラマ

会社の未来という名目の為に、未来を断たれた男たち。
彼らが本当に大切な事に気づいた時、新たな路が開ける。
監督初の長編であり、日本のサラリーマンの会社帰属意識に釘を刺す一作。

ボビー(ベン・アフレック)は、総合企業GTXの販売部長で未来は安泰と思われていた。

しかし時は’08年リーマンショック。
数々の企業が不況に陥る中、GTX社のCEOジェームス(クレイグ・T・ネルソン)は赤字の造船部門を縮小し鉄道部門に統合する為大規模リストラを敢行し、その中にボビーが含まれていた。

翌日から職探しに明け暮れるボビー。
自分の出張中にリストラを強行したジェームスに苦言を呈する重役のジーン(トミー・リー・ジョーンズ)の姿も社内にはあったが、社内では再びリストラが行なわれ勤続30年の叩き上げのフィル(クリス・クーパー)が解雇されてしまう。

GTX社の男たちがそこで学んだ事とは何だったのか・・・

原 題 THE COMPANY MEN
製作年 2010年
製作国 アメリカ
監督:脚本 ジョン・ウェルズ
製作総指揮 バーバラ・A・ホール
撮 影 ロジャー・ディーキンス
音 楽 アーロン・ジグマン
出 演 ベン・アフレック(ボビー・ウォーカー)、ケヴィン・コスナー(ジャック・ドラン)、クリス・クーパー(フィル・ウッドワード)、トミー・リー・ジョーンズ(ジーン・マクラリー)、クレイグ・T・ネルソン(ジェームス・サリンジャー)、ローズマリー・デヴィット(マギー)、マリア・ベロ(サリー)

ベン・アフレック演じるボビーは、リストラ前は年収12万ドル(約1460万円)。
愛車はポルシェで週末はゴルフ三昧、いい家に住みながらも、家庭は顧みない人間でした。

しかし自分を支えてくれる人間が誰がに気づいた時、長年折り合いが悪かった工務店を経営する義兄ジャック(ケヴィン・コスナー)に頼み仕事を貰う様になった事から、彼は自分の人生をやり直せるようになるのです。

叩き上げのフィルが会社の新社屋を温存する変わりにリストラされ、なおかつ再就職先さえ斡旋されない末路というのは、日本でもありえるのではないでしょうか。

リストラを止める事も出来なかった社の重役のジーンは人事担当責任者のサリー(マリア・ベロ)と関係があるという個人的な弱みがあり誰も助けられません。
会社人間(カンパニーメン)はいざという時に宛に出来ないという皮肉です。

映画のエンディングは、米国が繁栄してきた原点に立ち戻らないと不況は回復しないという事も暗示していると思います。

監督件脚本のジョン・ウェルズは『ER緊急救命室』や『ザ・ホワイトハウス』など数多くの有名テレビドラマを手がけた実力派。

そんな彼の手がけるドラマだけに、テアトルシネマグループ系で公開されたこの映画は、展開はスローペースながらドラマの本筋となる、働く男たちが本当に大事にしなければいけないものをじわじわ、かつ、端的に伝えてくる所がこの映画最大の見所と言えます。

題材が題材なだけに、明日私たちに起こりうると言える事ですし、それを乗り切っていく主人公やメインの登場人物を目立つ個性派俳優をもってこなかった所も成功の要因です。

Recommend

今回紹介した映画がオマージュを捧げていると思われる映画はアル・パチーノとケヴィン・スペイシーの『摩天楼を夢見て』だろうと思います。

『摩天楼~』の舞台はレーガン自由主義経済政策時代で不動産バブルになった’80年代。

シカゴの不動産会社に若いCEO(アレック・ボールドウィン)がやってきて、業績の悪い40代~60代の3人の営業マンをクビにすると告げます。

会社から去らなくてはいけなくなるアル・パチーノは官僚的な支店長(ケヴィン・スペイシー)に『このカンパニー・メン(会社人間)め!』と叫んでその場を後にするシーンがあるのです。

今でこそ、コーポレイト・ウォリア(企業戦士)と呼び名は変わっていますが、やる事は同じ。

労働組合が消滅した米国企業社会を見るのにはこの二作はお勧めといえるでしょう。
 
次に観る映画は絶対コレ!

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